嘔吐
過食症と嘔吐
嘔吐、すなわち食べたものを吐き出すことは、この病気とは切っても切れない関係にあります。
もし吐き出さなければ、それこそ限りなく太ってしまうことになりますからね。
吐き方はひとそれぞれ自分流のやり方があるのかもしれません。
ちなみに私の場合は、中指と人差し指を喉の奥に突っ込んで吐いていました。
本来吐くという行為は人間誰しも備わっている、身体が異物を取り込んでしまった時の自己防衛反応のようなものらしいです。
その状態を無理矢理、しかもかなりの頻度で起こしているのですから、身体がおかしくなるのも無理のない話かもしれません。
あまりに頻繁に吐いていたために、指に吐きダコができました。
毎回指を突っ込むときに、知らず知らずのうちに歯が当たっていたんだと思います。
ノドは胃液で常にイガイガ。水を飲むとつらいので、吐く前以外は常にゼロカロリーの炭酸飲料が手放せず、その甘さで口の中やノドの奥の苦しさを紛らわせていました。
周りの私を見る目
徐々に慣れてくると吐き方のコツのようなものが身についてしまって、吐くことのプロみたいに、実に上手に吐けるようになれました。
徹底的に吐きました。食べた分を、ほとんどキレイに吐いてしまえるわけですから、何も食べていないのと同じようなもの。
当然、どんどん痩せていって、見るからに不健康になっていくのが自分でもわかるのですが、もうその時にはやめようと思ってもやめられなくなっていたのです。
「食べること」と「吐くこと」が瞬間接着剤でくっついてしまったみたいになって、どうにもこいうにも切り離せなくなってしまったのです。過食症と拒食症の間をいったりきたりしていたこともありました。でも過食症であったときには必ず嘔吐もセットです。
見るからにガリガリになってしまった私に対する周囲の目は、何か見てはいけないものを見てしまったって、いうような顔つきでした。
母の心配
私は、家族には知られないようにして吐いていました。
食事も普通に出されたものを食べていました。
でも食べたら即、トイレに直行して吐いていました。居間にまだ家族がいるときなどトイレで吐けない時は、自分の部屋で吐いていました。
もちろん吐いたものは絶対に見つからないように、必死で隠して後で処理しました。
だから最初母は、私があまりに痩せてしまったのを見てどこか身体が悪くなったのではないかと、それはそれはひどく心配してくれました。
何度も何度も医者に行くこともすすめられました。栄養剤や滋養強壮によいお酒のようなものを買ってきてくれて飲まそうとしてくれました。
うすうす気づいていたのではないかとは思いますが、「あなた、もしかして、食べ物を吐いているんじゃないの?」などと、問い詰められるようなことは一度もありませんでした。